手取契約

こんにちは!公認会計士・税理士の郷原玄哉です。

所得税、特に源泉所得税は税金の中でも特に身近な税金として認識されているものではないでしょうか。
事業を行っている個人・企業の方においては、源泉所得税を徴収する義務があります。
このような方を「源泉徴収義務者」というのですが、源泉徴収義務の範囲は給与に限ったものではありません。
士業の方や講師料として報酬の支払いを行った場合には源泉徴収を行う必要があります。

ところで講師の先生への報酬などを支払う場合、源泉所得税を行った場合、源泉徴収後の報酬が1円単位までの報酬額になってしまうので、丸い数字、例えば10万円ぴったりに支払いたいなどの支払いを行いたいと考えた事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は公益法人の顧問先様と関わる機会も多いのですが、公益法人の顧問先様などは、このようなご質問を受けることがあります。

報酬に関しては、先ほどご説明した通り源泉徴収の必要があります。報酬の支払い先が確定申告を行うため源泉聴取をしませんでしたという理屈は通用しません。過去の裁判においても、支払い相手先が確定申告を行っていることを理由として源泉徴収しなかったという事においては認められないとの判例が出ています。

計算方法

では、源泉徴収した上で、端数が出ないように支払う方法はないのでしょうか。
実はあります。その方法を「手取契約」と言います。この計算方法は国税庁のホームーページでも紹介
されています。
ここでは、手取契約の計算方法についてご説明します。

①渡したい金額(手取金額)を決める
②手取金額÷0.8979=報酬金額
③報酬金額-手取金額=源泉所得税額 
④源泉所得税額を報酬支払の翌月に税務署へ納付する

実はものすごく簡単なのです。
更にポイントを押さえておくとより理解が深まります。ポイントとなる内容をいくつかご説明します。
・報酬における税率は100万円までは 10.21% 100万円を超える額は20.42%
・②で割り戻す計算根拠  1-0.1021(10.21%) = 0.8979
・例えば手取報酬を100,000円の場合
  100,000÷0.8979=111,370円
  源泉所得税額   11,370円(1円未満の端数は切り捨てます)

ここでのポイントで特に重要なのが、税額を覚えておく事です。割り戻す数字の計算方法をを覚えて
おけばどのような金額でも計算できます。
報酬に関する源泉徴収に関しては、通常契約や手取契約方法を押さえて、しっかり徴収を行いましょう。
それから、源泉徴収した後の納税もお忘れなく。

参考:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792_qa.htm)

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