今日は監査にて訪問させていただく関与先様からよくご質問いただく、子ども・子育て支援新制度(以下新制度)での公定価格に係る賃金改善についてのお話をしたいと思います。
今回は賃金改善についての種類と概要についてのご説明です。
新制度において給付される公定価格については、施設の職員へ賃金改善を目的として支給しなければならない給付金が含まれています。
これらは新制度以前からあるものや、新制度が始まってから創設されたものなどがあるのですが、給付の種類や目的・要件などが少しずつ異なっており経営者には難解なものとなっているのが現状なようです。
実際、公定価格の計算方法は従来からあった保育所への委託費などの給付費を参考としているため、新制度移行を行った学校法人の経営者の方は給与体系などを公定価格に含まれる賃金改善分を配分出来るように規定変更が必要となり、大きな転換が求められています。
・人事院勧告
概要:人事院が、民間企業に勤める労働者と一般職の国家公務員の給与水準を比較検討して、双方の給与水準の格差をなくすことを目標にした加算。
給付方法:国の人事院勧告加算率に準じて給付。初任給及び報酬月額を引き上げる。またボーナス支給額を民間の支給状況にふまえて引き上げる。支給額は年度の4月に遡り配分。給付年度は例外として、一時金として支給する事も可能。
・処遇改善Ⅰ
概要:職員一人当たりの平均経験年数によって加算率が上がる制度。基礎分、賃金改善要件分、キャリアパス要件分がある。
給付方法:毎月の給付費に加算して各施設に給付。配分方法や時期は計画書に基づき配分
・処遇改善Ⅱ
概要:幼稚園教諭、保育士などのキャリアアップに向けて研修体制を確立し、技能や経験を積んだ職員に対して賃金を上乗せできる制度。
給付方法:毎月の給付費に加算して各施設に給付。配分方法は給与規程などに明記して、辞令を発令し給付。給付をうける職員は一定の研修の終了などの要件が必要。計画書や実績報告書の作成が必要。
・処遇改善Ⅲ
概要:処遇改善Ⅰと同様に給与水準を継続的に改善するために支給される給付費。
給付方法:毎月の給付費に加算して施設に給付。支給対象者には一定の要件あり。配分方法は給与規程などに明記して給付。計画書や実績報告書の作成が必要。
処遇改善の給付を受け配分する際には、各種制度に詳しい社会保険労務士、税理士等の専門家にアドバイスをもらい、各種制度の内容を理解しながらルールに従って確実に支給しましょう。
また、令和6年度以降複雑だったこれらの人件費に係る給付費について、一部変更していく流れがあるようです。これらについても今後のコラムで触れていくようにします。